日本被団協のノーベル平和賞受賞への祝辞 あらためて、日本政府の核兵器禁止条約批准を求めます
被爆者の長きに渡る運動が、ノーベル平和賞を受賞しました。核廃絶と平和の希求を宣言する医師・歯科医師の団体として、日本原水爆被害者団体協議会の皆様、核廃絶への取り組みを続ける世界の皆様に心からの祝辞と謝意を表すものです。また、被爆者医療に携わるなかで、被爆者とその取り組みを支えてきた医師をはじめとする医療関係者の方々に敬意を表します。
ノーベル賞委員会は、被爆の被害を発信し続け、核兵器の拡散と使用への警告を発してきた被団協の活動が、核兵器に対する広範な反対意見を生み出し、国際世論を形成することに大きく貢献していると評価しています。今、世界では、核兵器使用を示唆する威嚇を繰り返し、「核保有国」による大量殺戮とその戦禍が拡大しています。多くの人々、とりわけ子ども達の命が奪われる深刻な状況が、一日でも早く収束することを願わない日はありません。このような不安な情勢の下で、核戦争の回避と核兵器廃絶を求め取り組みを続けてきた被団協の、ノーベル平和賞受賞は大きな意義を持つものと受けとめています。
被団協の取り組みが世界的な評価を得る一方で、日本は非合理な核抑止論に立ち、核兵器禁止条約を批准していません。核兵器廃絶を言いながら、米国の核兵器に国家の安全を委ねるという矛盾した姿勢を維持しているのです。それだけではなく、石破首相は、米国研究所への寄稿のなかで、アジア版NATOの創設と、枠内での「核の共有や持ち込み」の具体化を主張しています。さらに日米地位協定の見直しを口実に、日米の軍事協力体制を強化する発言を繰り返しています。戦争と核兵器使用を許容する言動として、見過ごすわけにはいきません。
私たちは、国家の論理で民を犠牲にする戦争に近づくあらゆる動きを批判し、被爆国として、核兵器禁止条約の早期批准を求めるものです。核兵器は、取り戻せない深刻な被害を生み、人類の存続をも危うくするものです。核兵器廃絶を求める日本被団協、ならびに草の根の取り組みに協働し、その実現に尽くしていくことを宣します。