保険医の生活と経営を助ける共済制度

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患者が安心して暮らしていくために、保険医はいつまでも健康で診療に従事することが必要である。

しかし、万一傷病により休業せざるを得なくなった場合への備えは欠かせない。保団連・協会は、共済 活動を、地域医療を担う保険医の生活と経営を助ける重要な活動として位置づけている。
そのひとつである「保険医休業保障共済制度」は、2005年の新保険業法制定から維持管理状態であったが、業法再改定を経て、この3月より加入受付を再開した。再改定後の法律への対応のため、2013年8月1日より「保険医休業保障共済保険」と名称を移行し、運営元も一般社団法人全国保険医休業保障共済会となる。名称は変わるものの、安心して療養に専念できるこれまでの保障内容を、ほとんど毀損することなく移行できることは、全国の保険医協会、団体が「加入者の利益を守る」ために粘り強く運動を行ってきた成果といえるだろう。

協会は、会員のための共済制度として、「保険医年金」「グループ保険」「休保制度」と、3つの大きな制度を取り扱っている。

「保険医年金」は1968年に創設され、加入者約5万5千人、積立金総額1兆円超という日本最大規模の私的年金である。春の受付期間は4月1日から6月25日までとなっている。必要な時期に、一時金として、また年金としても受け取ることができ、受給方法は受給時に選択できる。口単位での増減、払い込みの負担を一時的に軽減できる中断・再開制度など、独自性の高い制度内容は、まさしく医師・歯科医師のためのものと言える。また委託生命保険会社も7社とし、リスク分散による安全性の向上だけでなく、予定利率、配当の面でも、加入者に貢献できる運営に主眼が置かれている。

「グループ保険」は、シンプルな掛け捨ての生命保険(死亡・高度障害時のみの保障)だが、割安な保険料と大きな保障を備え、増減額の希望にも随時対応できるため、保障の調整弁として活用いただけるのではないだろうか。また、受託生保4社で運営する「グループ保険」で、家族の保障もカバーすることができる。

診療報酬の見直しが遅々としてすすまないなか、患者負担増の制度改革が見込まれ、さらに医療機関の経営を圧迫することへの不安が高まっている。保険医協会は診療報酬の引き上げ要求とともに、患者の窓口負担軽減を運動の柱と据えて力を注ぐ一方、万一の際も会員が安心して療養に専念できる共済制度を実施することで、会員の生活と経営に寄与していきたいと考えている。

ケガや病気で休業が必要となった際には、代診をおいても給付が受けられる「休保制度」(次回受付は2013年9月予定)、子どもの学資や老後資金の準備には自在性と安定性が魅力の「保険医年金」、そして、万一の備えは、見直しが容易な「グループ保険」。会員への還元を重視する3制度を組み合わせれば、最小限の経費で必要な保障を得ることができるのである。保険医協会の目的と共済制度を実施する意義がリンクしていることを実感いただけるはずだ。この機会に、保険医協会だからこそ実現する共済制度を利用して、保険の合理化・再編成をしてみることをお勧めする。