医療保険制度改革関連法成立に関する抗議声明

pdfのダウンロードはこちら

医療保険制度改革関連法の可決、成立に抗議する国民のいのちと健康を守る医師、歯科医師として許すわけにはいかない

医療保険制度改革関連法案(「持続可能な医療保険制度等を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」)が、5月27日の参議院本会議で可決が強行され、自民、公明、維新、新党改革、次世代などの賛成多数で成立した。

同法案は、健康保険法など5つの法「改正」案を一括して提案したもので、入院時の食事代の自己負担引き上げ、安全性、有効性が未確立な医療を「患者の自己責任」の名の下で拡大し、実質的な混合診療の解禁となる「患者申出療養」の創設、「国保の都道府県単位化」(都道府県による財政運営や医療費適正化計画の見直しによって、公的医療費削減を都道府県に担わせる)など、いずれも国民生活に重大な影響を与える内容が多く盛り込まれている。そのため、医療従事者だけでなく、患者団体や多くの国民が徹底した審議を求めていた。

しかし、政府・与党は、衆議院でわずか19時間、参議院でもわずか18時間(衆参厚生労働委員会での参考人質疑を除く)で審議を打ち切り、委員会での採決を強行した。

また、衆参の審議を通して、与野党を問わず懸念する声が相次いだ。「患者申出療養制度で『6週間』でどうのように安全性・有効性を確認するのか」「今でも『払えないほど高すぎる保険料』や違法な差し押さえで苦しんでいる国保加入者をさらに増やすのではないか」などである。これらに対し、厚労相をはじめとする政府側答弁は「法案成立後に関係審議会等で詳細は決める」との答弁に終始した。

このように、国民の声に背を向け、十分な審議を尽くすことなく可決、成立させたことは、議会制民主主義を否定するものであり、断じて許されない暴挙である。

我々は国民のいのちと健康を守る医師・歯科医師として、医療保険制度改革関連法の可決、成立に強く抗議し、法の施行凍結と廃止を求めて、引き続き運動を強めていく。加えて、現在、経済財政諮問会議などで検討されている、公的保険給付の削減、患者負担増計画を阻止し、憲法25条に基づき、誰もが安心して医療を受けることができる医療保険制度の構築を目指し、奮闘する決意である。

2015年6月10日

広島県保険医協会