原発再稼働をやめて、『脱原発』政策への転換を

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東日本大震災および東京電力福島第一原発事故から7年。死者は1万5895人、行方不明者は2539人、震災関連死は3647人、今なお約7万3000人が避難生活を続け、3万8500人が不自由な仮設住宅での暮らしを強いられている。

3月11日に前後して今年もテレビ・新聞各社は特集を組み、全国各地での追悼行事の様子とともに、いまだに生活や生業の再建がままならない多くの被災者の姿や、計画通りに進まない復興策、被災者支援策の縮小・打ち切りに伴う新たな問題の出現などを一斉に報じた。未曾有の大災害からの復興がいかに困難で長い道のりか、まだまだ道半ばであることは言うに及ばずであるが、被災各地における、住民・自治体の努力をはじめ、さまざまな組織、多くの支援者らの手によって復興に向けて着実に歩みを進められてきた分野も多数あり、あらためて7年という歳月の重みを感じる。

一方で、福島第一原発事故の被害に目を向けると、自然災害としての地震・津波による被害とは全く性質が異なり、原発事故被災地における復興の困難さが明瞭となっている。今も避難生活を続ける7万3000人の内訳をみると、福島第一原発事故が起きた福島県の避難者が約5万人と最多であり、なかでも県外避難者数が約3万4千人と、岩手県(1227人)、宮城県(608人)と比較して際立って多い。帰還困難区域(福島県南相馬市、飯舘村、大熊町の一部)はもちろんのこと、昨春に避難指示が解除され帰還可能となった地域でも実際に帰還した人はごく一部にとどまり、またそれ以外の福島県の地域においても、現在もなお多くの人びとが自主避難を続けている現実があるのだ。

福島第一原発では、メルトダウンした3つの原子炉が現在もなお日々大量の汚染水を生み出し続けており、汚染水を貯蔵・保管するタンクを置く敷地がまもなく足らなくなることから、汚染水を薄めて海に流すことが検討されているという。また、各地で行われた除染作業により生じた膨大な量の汚染土についても、最終処分場が決められず、日本全国で埋め立て用の建築資材として再利用することも検討されている。福島第一原発事故を収束させることは、現在の技術では不可能であり、どのような理由によっても二度と起きてはいけない事故であることは誰の目にも明白であろう。

2012年7月に国会の事故調査委員会は、東京電力福島第一原発事故について、「事故は自然災害ではなく明らかに人災」という報告書を提出し、震災前に地震や津波に対する十分な安全対策が取られなかったほか、監視・監督機能が崩壊していたことが根源的原因と結論付けた。しかし、そもそも地震が多発する火山国の日本において、狭い国土に57基も原発を抱えて、「地震や津波に対する十分な安全対策」が現実的に可能であろうか。再び地震・津波により、あるいは戦争やテロなどによって、原発事故が起こらない保障はどこにもない。

3月11日政府主催で東京都千代田区国立劇場にて行われた「東日本大震災7周年追悼式」で、安倍首相は「災害に強い、強靭な国づくりを進めていく」と式辞で述べているが、そうであるならば、福島原発事故から得た教訓をもとに、エネルギー基本計画に原発の新規設置をしないことを明記し、今すぐ稼働中の原発を止め、57基ある原発を順次廃炉にしていくことこそが求められるのではないか。あれから7年、どの世論調査を見ても「再稼働反対」が過半数で揺るぎない国民の意思であることを忘れてもらっては困る。