社会保障を切り捨て軍拡進める、2015年度予算案は見直しを

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1月14日、安倍内閣は、2015年度政府予算案を閣議決定しました。一般会計の総額は、2014年度当初と比べ、0.5%増の96兆3420億円と過去最大となっています。

その内容は、社会保障の改悪などで国民にあらたな負担増を強いる一方で、 大企業はさらなる減税によって優遇、防衛費は過去最大規模となる など、「社会保障切り捨て、軍拡推進」という、安倍内閣のカラーが鮮明に打ち出されたものとなっています。

4兆5240億円増となった歳入では、 消費税収14年度比1兆7730億円(11.6%)増の17兆1120億円を見込み、税目別で最も多額となっています。2014年度は決算期の違いにより5%の納付率が混在していましたが、2015年度は8%の満額に揃うため2年連続の最多額となりま す。

その一方で、法人実効税率を2年間で3.29%引き下げ、黒字の大企業には約1兆6千億円もの減税を行う というのです。

歳出に目を向けると、医療費 11兆4891 億円( 前年度比 2.6% 増)、介護費2兆 7592 億円(同2.6%増)となっており、概算要求時点で8174億円を見込んだ自然増部分は2400億円程度圧縮されています 。

社会保障分野の削減内容は、介護保険の利用料の引き上げと介護報酬の2.27%引き下げ、生活保護費の生活扶助、住宅扶助、冬季加算を引き下げ330億円のカット。年金では「マクロ経済スライド」を発動させ年金額を減額のほか、高齢者医療の窓口負担増も盛り込まれており弱者切り捨ての内容が目立ちます。被爆者対策費でも被爆者数の減少を理由に01年度以降毎年10億円の減少が続いていましたが、かつてない44億円もの削減となっています。被爆70年に、被爆者が求める認定制度を否定するかのような予算措置であり許しがたいものです。

このような中、防衛費は過去最大の4兆9801億円と3年連続での増加となっています。垂直離着陸機V22オスプレイをはじめとした戦闘機の購入や前年度比80倍以上の沖縄米軍新基地建設費(辺野古)など、国民に押し付けた負担で米軍や軍備増強を図り、沖縄の民意にも背くこの予算案に多くの国民が失望しています。

度重なる公費削減・負担増の改革によって、福祉分野で「医療崩壊」「介護難民」などの崩壊が深刻化しています。今、必要なのは、「社会保障を切り捨て、憲法9条を葬り去り、戦争ができる国づくり」を進める政治ではなく、その真逆である「社会保障を充実させ、憲法9条と25条を守り発展させる」ことです。多くの国民の願いに沿った政治を実施するべく、2015年度予算案閣議決定を見直すことを強く求めます。

2015年1月28日

広島県保険医協会