地域住民の命と健康、医療スタッフの雇用と生活、地域の病院と診療所を守るために、診療報酬大幅引き上げを

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 11月11日の財政制度等審議会財政制度分科会において、「診療所の院長(開業医)は給与水準が高い」とする資料が示され、「2026年度診療報酬改定では、診療所について『適正化の方向で検討すべき』」との議論が行われました。そもそも医科診療所で約4割、歯科診療所では7割超の、個人立診療所を無視したデータによる議論であり、その捉え方は、診療所の診療報酬引き下げという結論ありきと言わざるを得ません。

 財務省は、この間、2024年改定を反映しない2023年度(2024年改定前)の医療法人経営情報データベース(MCDB)のデータをもとに、病院の経営悪化と診療所の黒字経営を強調。さらに2024年度の経常利益率の平均値(6.4%)をもとに、経営に余力があると主張しています。しかし、同じデータでも、中央値は3.6%、最頻値は0.0~1.0%となっており、平均値のみで議論を行い、設定した結論へ誘導しようという意図が強く表れています。

 当会には会員医療機関から、「日常的な必需品の値上げが続き経営が大幅に悪化」「医療機関の給料が低いため、看護資格を持った若い看護師が他業種に流出している状況は危機的」「医療機器が維持できない」「正しい医療、丁寧な医療を行うと経営が圧迫される」などの厳しい実態が寄せられており、「このままでは地方の開業医は消滅します」と悲鳴に近い意見もみられます。

 診療報酬は看護師や歯科衛生士という職員の給与や福利厚生の原資であり、診療に必要な医療資材や施設修繕、それらに係る消費税にも充てられています。物価や人件費の高騰が続くなか、やむを得ず私有財産を投入して借入金の返済や職員給与を賄う開業医療機関の現状に目を向けるべきではないでしょうか。

 赤字が注目される病院への診療報酬原資を、開業医療機関の削減分に求めようという財務省の主張は、地域の診療所が果たしてきた役割、医療スタッフの存在を軽視するもので看過することはできません。診療所と病院が連携して地域住民の命と健康を守っていることは、先の感染症対応からみても明白です。社会保険料の負担率上昇が国民の生活を圧迫するなか、OTC類似薬の保険外しなど、さらなる患者負担増が検討されています。医療機関や国民に負担を押し付けるのではなく、必要な医療費に財源をまわし医療費抑制を転換すべきです。2026年診療報酬改定は、病院・診療所ともに、大幅引き上げを求めます。