「被爆者」の願いを裏切る『核兵器禁止条約』制定交渉会議への日本政府不参加に強く抗議する
日本政府は、3月27日からニューヨークの国連本部で開かれている「核兵器禁止条約」制定に向けた会議への不参加を表明しました。政府を代表し演説に立った高見沢将林軍縮大使は、禁止条約が安全保障問題の解決に結びつかないと主張し、被爆地・ヒロシマを地元とする岸田文雄外務大臣は「核兵器のない世界に資さないのみならず、核兵器保有国と非保有国の対立を一層深め、逆効果になりかねない」と説明しています。被爆者の願いを踏みにじる日本政府の対応に、強い憤りを持って抗議します。
安倍首相が、大統領就任前にも関わらず会談に馳せ参じた米・トランプ大統領は、軍備増強を打ち出し、日本に交渉参加への嫌悪感を伝えたとされています。そして安倍政権は、社会保障費削減を続け、従来の枠に捉われず防衛費増を図ると明言しています。努力しているかのような振る舞いが詭弁であることは透けて見えているのです。
被爆者の願いは核兵器によって苦しむ人々のない世界の実現です。ヒロシマ・ナガサキを訪れ核兵器の脅威を目の当たりにした世界の代表らが、核兵器禁止に向け一歩でも前進しようと尽力するなか、唯一の被爆国である日本が背を向ける行為が、どれだけ被爆者を失意の底に突き落としているか、広島1区選出の岸田外務大臣にわからないはずはありません。自らが背負う使命を果たされるよう強く求めます。
私たちは被爆者医療に携わり、被爆者に寄り添ってきたヒロシマの医師・歯科医師として、日本政府が、核兵器廃絶に向けた役割を自覚し、積極的且つ実効性のある行動に転換することを求めます。
2017年3月30日
広島県保険医協会