参議院安全保障特別委員会採決の暴挙は認めない
安全保障関連法案の廃案と、立憲主義、民主主義、平和主義を蔑ろにする政権の退陣を求める
-軍備増強から社会保障拡充への転換を-
安倍政権の下で、国会は、国民に対して国政全般の責任を負い、国民の代表たる議員が民主的討議を以て、国民の生活や国益に寄与する機関の体をなさないものと化している。
与党側が採決を前提とした総括質疑を行うとした16日は、その直前まで地方公聴会が行われていた。前日の中央公聴会に続き、法案反対を主張する公述人からは、「憲法違反」であることのみならず、法案審議過程での政府の説明に厳しい意見が相次いだ。元最高裁判事の公述人は、現政権に人事権を握られ、その独立性を損なった内閣法制局を「今は亡き内閣法制局」と批判した。全国で続く反対の動きを先導してきた学生も公述に立ち、全国2千カ所以上、数千回超、累計130万人以上の人々が反対の声を上げていることを紹介した。政府が「国民への説明不足」を認識した後も、内閣支持率が落ち、反対世論は盛り上がり、法案への賛成の意見が減ったと述べた。公聴会で国民の声を聴き、翻って審議する猶予すら担保しない運営は、欺瞞に溢れた国会軽視である。
綻びだらけの選挙制度を利用して偽りの過半数を得た政権が、議会軽視の暴挙によって強行採決させるような事態は、もはや独裁と呼ぶに等しい危機的状況である。
ひとまとめに審議されるこれら11法案が成立することになれば、先の大戦の反省に立ち非戦を堅持してきた日本が、「集団的自衛権」の行使によって、他国の戦争に参加することになる。「後方支援」の名の下に戦争に加担していくことは、自衛隊員のリスクを高めるだけでなく、海外で医療支援などを行うNPOの活動を危険に晒し、テロの可能性も拡大させることになる。さらに今法案では、核兵器を武器として輸送することも可能とされている。70年に渡る広島・長崎の非核の願いを踏みにじるものであり断じて許すことはできない。「武力行使の3要件」をはじめ、政府の説明はあらゆる点で破綻しており、14,000人の学者・研究者が「違憲」を指摘し廃案を求めるなかで、強行的に成立させるようなものではない。
安倍政権になり防衛関係予算は膨張路線に転じている。法案成立は、間違いなく軍事費増強と社会保障削減を強める。アメリカに倣い、経済的徴兵につながる貧困層を増やしていくのである。
私たちは、安全保障関連法案の廃案と、立憲主義、民主主義、平和主義を蔑ろにする政権の退陣を求めるとともに、軍備増強から社会保障拡充への転換を図ることを強く求める。
2015年9月17日
広島県保険医協会