被爆国70年の今、日本政府に、核兵器禁止への明確な意志表明 を求める
2014年12月にウィーンで開催された「第3回核兵器の非人道性に関する国際会議(ウィーン会議)」で、議長国を務めたオーストリアは「オーストリアの誓約(プレッジ)」という核兵器禁止条約に向けた行動の宣言文を発表しました。この文書は、核兵器の禁止と廃絶に向けて現行の国際法体系には「法的なギャップ(不備)」があることから、これを埋めることを求めており、新たな核兵器禁止条約の必要性を指していると捉えられています。
オーストリアは、国連の全加盟国に、この「オーストリアの誓約」への賛同を求めています。
唯一の被爆国である日本は、各国の動向を探ったうえで、4月末からニューヨークで開催されるNPT再検討会議までに立場を固めたいという姿勢のようです。平和を希求する国民の願いは、被爆から70年を迎える今も冷めることはありません。この願いに応え、直ちに平和国家としての意志表明をすべきと考えます。
既に地球上の様々な地域が核に侵食され、人々の健康や命が蝕まれています。すべての生命の破滅につながる核の使用は許されるものではなく、殺戮を目的とする核兵器使用は、何よりも先に禁止されなくてはなりません。
オーストリアのクルツ外相は、第2回のナヤリット会議で、「核兵器は人類すべてにとっての恒久的な脅威であるのみならず、私たちが最終的に乗り越えなければならない冷戦の遺産でもあります。とりわけ、さらなる核拡散の危険を考慮すれば、国際的な核軍縮の取り組みには緊急のパラダイムシフトが必要です。」と指摘したうえで、「核軍縮は世界的な課題であると同時に、人類の集団責任なのです。」と語っています。
我が国の現政権は、国民からの強い批判の中、「特定秘密保護法成立」「集団的自衛権の行使容認」を強行し、沖縄の民意を無視して米軍基地移転を進めています。日米軍事同盟の強化どころか、世界のどこでも戦争に加担できる枠組みを模索するなど、メディアに圧力をかけての情報統制を隠れ蓑に愚行を重ねています。
私たち被爆地広島の医師・歯科医師は、「オーストリアの誓約」とオーストリアの意見表明に強く共感するとともに心から敬意を表します。唯一の被爆国である我が国こそ、核兵器廃絶の先頭に立つべきであり、直ちに賛同を表明することを求めます。
2015年2月26日
広島県保険医協会