「核兵器禁止条約」交渉開始決議に反対した日本政府の姿勢に抗議するとともに、核兵器禁止へ向け、積極的な役割を果たすことを強く求めます

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10月27日、国連総会第一委員会で、核兵器を法的に禁止する「核兵器禁止条約」の交渉開始決議が、123カ国の賛成により可決されました。被爆国である日本は、この決議に反対票を投じました。非人道の極みである核兵器の廃絶へ背を向ける日本政府に、被爆地ヒロシマの医師・歯科医師として、強い抗議の意を表明します。

「核兵器禁止条約」の交渉開始決議は123カ国の賛成により採択されましたが、核保有国と核兵器の「抑止力」に縋る日本など38カ国が反対に立ちました。被爆国でありながら「核の傘」に依存し、核兵器廃絶に向けた話し合いのテーブルにすらつこうとしない日本政府は、禁止条約の交渉開始決議のもう一方で、現状の追認に過ぎない「段階的核軍縮」決議採択に精力を注いでいました。安倍首相は「核保有国が反感を持っている決議を日本が進める立場になれば、日本の決議に核保有国が理解を示さない可能性があった」と述べていますが、米国追随で主体性のない政権の詭弁に過ぎず、非保有国の信頼を損なう行動は許されるものではありません。

核保有国らは、北大西洋条約機構加盟国らに、決議に反対するよう呼びかけ、圧力をかけたと報道されています。今年5月、ヒロシマを訪れ、「勇気を持って恐怖の論理から逃れ、核兵器なき世界を追求しなければなりません」と語ったオバマ大統領の言葉との矛盾を強く感じます。

私たちは、この度、多くの国の合意でもって、核兵器禁止条約の制定に向け貴重な一歩が踏み出されたことを高く評価します。一方で、原爆被爆者の思いを踏みにじる被爆国政府への失望は計り知れないものがあります。日本政府は被爆者の怒りと失望を真摯に受け止め、「核の傘」依存の転換と、核兵器の非合法化に向け積極的な役割を果たしていくことを強く求めます。2016年11月1日広島県保険医協会