健康保険法等改正案の可決成立・「一部保険外療養の創設」に強く抗議する

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 3月13日に国会に提出された「健康保険法等の一部を改正する法律案」は、自民、維新、中道、国民、参政、みらいが賛成(反対は共産のみ)し、衆議院を通過。極めて重要な問題点を指摘し、17もの附帯決議を採択しつつも法案賛成という姿勢は納得しがたいものであった。そしてこの「改正」法案は、5月29日、少数与党の参議院でも可決され、成立した。

 「改正」法案は、市販薬との代替性が高い療養等について、薬剤費の一部を医療保険から外す「一部保険外療養」を創設する。対象薬剤、配慮対象者など具体的な運用は法成立後に決めるとしているが、12月の「大臣折衝事項」では、対象薬剤77成分(約1,100品目)とされており、薬剤費の4分の1を患者負担とされている。

 法案審議では、「一部保険外療養」が薬剤に限定されておらず、将来的に診察・検査・処置などに拡大する可能性が指摘された。政府側は「薬剤を想定した法改正」「拡大は考えていない」と答弁するが、法に明記されていない以上、解釈変更は可能であろう。「市販薬で対応している患者との『公平性』」を主張するが、医師の診断を受けて処方される薬剤と、自己判断で飲薬するものに「公平」を求めることは筋違いである。ましてや、患者負担が増える方に、医療とは言えない自己判断レベルに合わせる「改正」は、保険医療の縮小・切り捨てにほかならない。

 また、正常分娩に全国一律の基本単価を設定し、現物給付を行う実質保険適用化と言える内容も含まれる。当面は、現在の出産一時金との併用を認めるが、基本単価の設定は法成立後に検討するとされており、産科施設にある現行制度下でのコスト構造をカバーできる単価設定でなければ、施設のさらなる減少を招きかねない。

 5月19日の参議院厚生労働委員会では、高額療養費制度の見直しに関する参考人質疑が行われた。安藤道人立教大学経済学部経済学科教授は、マクロ経済の視点からも、医療費負担を公から国民へ付け替えるものでしかなく、消費経済にとってもマイナスと指摘。医療現場の代表は「国民皆保険制度の理念は、必要且つ適切な医療は保険診療で確保する」ことの確認を求めた。国民皆保険制度の空洞化につながるような法「改正」が、「とりあえず法案通過、詳細はその後に検討する」「国会審議なく省令で決められる」ものでよいはずがない。「健康保険法等の一部を改正する法律案」の可決・成立に抗議するとともに、廃案にするよう強く求める。