医療報道に保険医協会の取り組みを~積極的な情報発信でメディアを味方につけよう

pdfのダウンロードはこちら

 「メディアから見た『診療報酬』~大きく扱うのは不正などネガティブ報道の時だけ?~」と題した公開講演会を開催した。診療報酬改定前に、仕組まれたかのように、医療のスキャンダルじみた報道が続いてはいないかというような疑念が払しょくされたとは言えないが、報道現場の実態やこれからの取り組みへのヒントが得られる講演だったのではないか。

 講師は緻密な取材に基づいて、不正請求や医療現場の虐待など、極一部のルールから逸脱した事象を中心に取り上げてきた。報道によって社会的な注目を集め、行政を動かし是正につながった。報道にありがちな、スクープを追い求める姿勢は、一部の小さな問題には社会の関心が向きにくい、評価につながりにくい側面があるからではないか。先の報道では、背後にある「医療過疎地域」や医療現場が経営や人材不足で限界にあることを浮き彫りにし、さらに違った側面からの報道を呼ぶ契機ともなった。

 診療報酬は2年毎に変わりその度に新たな不合理が生じている。医療機関といっても、院内・院外薬局、介護併設など、事業形態は様々である。診療所の多くで、医師・歯科医師は診療だけでなく経営も担い、立ち位置が少し違うだけで見える景色も違ってくる。医師法・歯科医師法、健康保険法、医療法など、関連法令も多く、介護保険導入も相まって制度の仕組みは複雑を極める。部分的な理解はできても、全体像を理解して問題を見抜くには、医療を専門としていなければ困難だろう。マイナ保険証問題をみても、省庁が示す内容は実態と乖離し、辻褄合わせのように取扱いが変更されている。何通りもの資格確認方法を整理して報道するために、保険医協会に解説を求める報道機関もあった。

 現在の医療問題の報道に不足を感じたり、異論を抱いたりするのは事実だが、現場の何を見てほしいのか、どう報じてほしいのか。現場を知る者として、多くの方の理解が進む発信を常に考え広報していくことは必要だろう。医師・歯科医師の団体である保険医協会・保団連は、素早い情報の把握と正確な制度の理解だけでなく、患者への影響も見通したうえで問題点を指摘してきた。保険医協会・保団連の活動が医療報道に活かされるよう、報道機関へも積極的に問題提起と情報発信を行い、メディアからも頼られるような実力をつけよう。