地域のインフラ、医療機関を守ろう~診療報酬の10%引き上げを強く求める
診療報酬の改定議論が始まった中医協では、2023年度の医療法人経営情報データベースシステム(MCDB)を用いて、医療機関の経営状況について「病院マイナス0.7%」「診療所プラス6.9%」「歯科プラス4.1%」と示された。経団連の委員らからは「病院と診療所とでは明確な違いがある」と、データを前提にした意見も出されている。約6割の病院が経常利益で赤字、自治体病院では9割が赤字。広島でも市立病院機構の赤字が機構発足以降最大と、病院が深刻な経営状況にあることは間違いない。しかし法人立の、それも24年改定を反映しない数少ないデータでの実態把握が適当と言えるのか。
日医総研の診療所の緊急経営調査(25年9月)をみると、2024年度経営収支は法人立、個人立ともに前年度から大幅に悪化。個人立無床診療所では医業利益率4.5ポイント低下、診療所全体の経常利益は19.5%減少している。税理士法人が23年と24年を比較した歯科診療所(法人立100件、個人立222件)の決算状況調査では、保険診療収入は102.4%と微増にとどまるなか、材料費や外注費が同程度の増加、人件費は109.5%である。
最低賃金は11月より1,085円に引き上げられたが、医療機関は原資となる診療報酬が上がらなければ賃上げに踏み切れない。会員署名にも「スタッフの賃金を上げられない」という意見が多く寄せられている。このままでは、地方や中山間地域、病院施設から有資格者が他産業に流れることとなり、人材不足は加速、算定要件を満たさずさらなる収入減ともなりかねない。
3%で導入された消費税は30年を経て10%となった。非課税の保険診療では控除できない消費税負担が発生し、それを診療報酬で補填するとされている。しかし厚労省が示した値をみると、2022年の補填率は98.9%(病院103.7%、診療所89.5%)。前回改定時には、水道光熱費を計上しない誤ったデータをもとに議論が行われていたことも判明した。
マイナス改定の連続と物価・人件費の高騰、消費税負担によって、地域医療を支える医療機関はすでに危うい水域にある。水道の老朽化が各地で問題となっているが、医療は水やエネルギーと同等の地域インフラであり、診療報酬引き上げは地域インフラを守るための住民の要求である。今こそ、住民とともに患者負担の軽減策と、診療報酬の10%引き上げを求めていこう。