幅広い世代と多様な人たちに、根拠あるメッセージを届けよう~「旬」に流されず、暮らしと医療を守る選挙へ
連休中に実施された参議院選挙で、与党である自民・公明は過半数の議席を維持できず、参議院でも少数与党となった。自民は前回参院選から約30%の得票減(2022・比例得票比)、公明も約16%減。裏金問題や政治資金改革への不信、物価高騰に有効な手立てが講じられない不満の結果と言える。選挙後も自身らの責任を省みることなく党内抗争に明け暮れている。このような国民意識との乖離が、与党の後退と、新興政党の台頭につながったのではないか。
注目を集めた新興政党はいずれも保守的な主張が目立ち、選挙戦で掲げたキャッチコピーが差別を扇動すると批判を受けたものもある。無党派層では政権批判が「旬」な政党に流れる傾向があると言われるが、厳しい暮らしに苛まれ救いを求める心情に、即物的な金銭メリットや自国民優先が滑り込んだのではないか。
その後の臨時国会で、「日本人ファースト」を掲げ躍進した政党党首は、この言葉の持つ意味を「反グローバル社会の実現」だと説明した。そして同じ質疑で、関税問題解決のために、WHO(世界保健機構)を脱退し、SDGsも脱炭素も投げ出し、トランプ米大統領に媚びてすり寄るべきだと石破首相に質した。
参院選では、日本維新も得票を大きく減らした(約45%)。臨時国会では、医療費4兆円削減の約束を果たすよう首相に迫ったが、「念頭に置いた協議」を三党で合意しただけの文書は医療費削減の約束手形ではない。患者・医療機関に甚大な影響を及ぼすOTC類似薬の保険外しや高額療養費制度の改悪には、断固として反対するものである。
物価高騰対策、税や社会保険の負担軽減、膨張する軍事費や企業団体献金の是非、選択的夫婦別姓など、問われるべき政策は山積みであったにも関わらず、ほとんどが埋もれてしまい、医療政策を顧みる機会ともならなかった。新興政党の危うさだけでなく、改憲政党の議席が増えたことへの不安感も強い。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)では、歯切れがよく強い意見が鮮明に映り、簡単に情報へアクセスできるものの、アルゴリズムで範囲が限定されやすく偏りも生じやすい。切迫した地域医療の現場、負担が増え続ける暮らし、これらが選挙の結果とリンクしていることをどれだけ実感しているのだろうか。医療費削減の撤回と社会保障制度拡充のために、医療者の団体として、根拠あるメッセージを幅広い世代・多様な層に届けていこう。