統計やデータの不正、恣意的利用を許さない~国民生活の向上に寄与する統計利用を~

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 浜岡原発の再稼働に向けた審査で、コストをかけずに適合性審査に合格したい電力会社は、データ不正という甚大なリスクを冒した。外部からの通報で不正を把握した規制委員会は、データ捏造は中部電力が起こしたもので、他の事業者には注意喚起にとどめるとも報道されている。電力会社のデータ不正が原発事業全体への不信感を引き起こしている自覚に乏しい。PFAS(有機フッ素化合物)問題では、内閣府の食品安全委員会の「検証影響評価書」で、摂取許容量を提示する際の参考文献の大半を途中で変更し、恣意的な取捨選択が指摘される事態となっている。遡れば、2018年、厚生労働省「毎月勤労統計」(毎月の労働者数、賃金、労働時間等を調べる「基幹統計」)で不正が発覚。労災給付に過少給付が生じ、国会審議では首相官邸の関与があったことも把握された。

 中医協の改定論議では、財務省が「機動的調査」や「医療法人経営情報データベースシステム(MCDB)」を用いて、病院や勤務医、OECD加盟国に比べて開業医は高収入だと繰り返した。背景を無視して平均値で評価するなど、診療報酬を抑制したいがための根拠に統計を利用した。

 統計局は「統計は、『社会の情報基盤』として、今日の行政運営や企業の意思決定などに必要不可欠なものとなっており、統計なくして国家などの運営は成り立ちません」とある。継続的に記録する統計は社会の変化を捉えるものでもあり、信頼性を損なうとその回復にはかなりの努力を要するとも述べている。統計のごまかしや恣意的な利用が行政から民間企業へと拡大し、統計自体の信頼性が損なわれてきていることを危惧する。公務員の削減が進むなかで統計という地味な作業が軽視され、民間任せの調査が増加していくことは国家の損失とも言えるのではないか。

 統計法第一条には「公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする」とある。医療機関が地域医療を維持・継続するための原資となる診療報酬は、国民の健康増進に寄与するものである。データや統計の不正に厳格な態度で臨み、統計行政の信頼回復に努めるとともに、行政がその存在意義を見失うことなく、目的に即して活用されることを切に求める。