被災者の尊厳と健康を保障し、災害関連死を防ぐ被災者支援の実現を
7月28日、熊本県宇城市で最大震度7を記録する地震が発生した。死者38人、負傷者364人、住家被害は全壊1,589棟、半壊1,950棟という規模の災害となっている(8月21日時点)。ホテル避難が従来より迅速に提供されたと言うものの、酷暑が続くなか、避難所や車、軒先などで生活しながら復興に向けた作業を行う被災者も多くある。さらに、千葉では8月13日に記録的な豪雨が発生し、死者13人、住宅被害は3,725棟(8月21日時点)という大規模な都市型災害となった。千葉でも避難生活が続いている。
発生当初、熊本県内に415か所の避難所が設置され、1万人超の住民が避難することとなったが、冷暖房のない体育館に雑魚寝、断水でトイレが使えない、食糧支援はパンやおにぎりが続くという報道が流れた。2016年の熊本地震では、災害関連死が死者全体の約8割となった。能登半島地震でも約7割。災害での負傷だけでなく、避難所での身体的・精神的負担が死につながる災害関連死を、何としてもなくさなくてはならない。
地震多発国のイタリアでは、1980年の南部大地震を教訓に、「TKB48」という避難環境の確立をシステム化している。トイレ、キッチン、ベッドを48時間以内に完備し、避難者の負担を軽減するというものである。仮設トイレの設置、移動式キッチンで栄養のある食事の提供、家族単位のテントとベッドの確保を、国の市民保護局が主導し、訓練を受けたボランティアを動員して整備する。日本でも、熊本市主催で市民参加型のTKB48避難所訓練が実施(5月)され、九州地方の9自治体が参加するなど、関心が高まっている。
災害対策基本法では、市区町村が災害対応の一義的責任を負うとされるが、自治体の財政力、地理的リスク、人員、備蓄能力などによって差異が生じやすい。災害大国である日本では、いつ、どこで、どのような大規模災害が発生するかわからない。これから設置される防災庁は、災害予防、応急対策、復旧復興など、発災時の対応から復興・復旧までの一貫した災害対応の司令塔になる。阪神・淡路大震災で約900人、東日本大震災で約3,800人という災害関連死を真摯に受けとめ、「全ての被災者の良好な生活環境の享受」という災害対策基本法の基本理念のもとで、被災者の尊厳と健康を保障する被災者支援を実現してもらいたい。