こども医療費助成制度のペナルティは早急に廃止せよ 18歳までの医療費窓口負担無料化、国の責任で実現を

pdfのダウンロードはこちら

 厚労省の社会保障審議会医療保険部会で、小学生から18歳未満までの子ども医療費助成に係る国民健康保険の減額調整措置を廃止する方針が了承された。小学生以上の医療費助成制度を現物給付で実施する自治体に、国民健康保険の国庫負担金を減額するペナルティが課され、これによって自治体の財政負担が重くなり、制度充実の足枷となってきたのである。

 しかしここへきて厚労省は、自治体の医療費助成制度が拡充されることで「課題」が生じるとして、新たなインセンティブ(交付金)を持ち込み、ブレーキをかけようとしている。窓口での自己負担無償化が拡大することで、受診の増加を招くこととあわせて、抗菌薬処方など医療機関での診療内容に影響を及ぼす、小児医療提供体制にも影響する可能性を指摘している。すべては医療保険財政への影響、すなわち医療費の増加を避けたいということである。厚労省は新たな取り組みとして、①保険者への交付金と連動させたインセンティブの導入、②抗菌薬の適正使用など医療の適正化の取り組み、③子ども医療費助成の影響に係る分析を挙げている。

 子ども医療費助成制度は、病気の早期発見・早期治療につながることはもとより、少子化対策として効果的な施策であるため、近年多くの自治体が積極的に拡充に取り組んでいる。18歳までを対象とする自治体は全国で約7割となり、県単位での拡充も行われてきている。群馬県では、制度拡充によって小児救急医療の受診減少という効果を及ぼしているとの報告もある。厚労省は、先進的に取り組む地域の事例を学ぶべきではないか。

 こども医療費助成制度は、子育て世帯にとって最も効果的な負担軽減策である。制度拡充を足踏みさせるような方策を持ち込むのではなく、少子化問題に真摯に向き合い、子どもの健やかな成長を保障するために国が必要な財源を確保すべきである。さらには、国の制度として18歳までの医療費窓口負担無料制度を実現することを求める。