国は「黒い雨」訴訟の上告を行わず、すべての被爆者救済を急げ
7月14日、広島高等裁判所第3部は、「黒い雨」訴訟において原告全員84人に勝訴の判決を下しました。
「黒い雨」訴訟は、広島原爆による「黒い雨」にうたれた者が「被爆者」に該当するかどうかを問うた初めての訴訟です。
判決は、広島地裁判決に続き、「黒い雨」にうたれた者は無論のこと、たとえ「黒い雨」に打たれていなくても、空気中に滞留する放射性微粒子を吸引したり、放射性微粒子が混入した飲料水・井戸水を飲んだり、野菜を摂取したりして放射性微粒子を取り込むことで、内部被ばくによる健康被害を受ける可能性があったと認定しました。その上で、原告らが被爆者援護法1条3項の「身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」と認めました。
被爆76年を迎え、「黒い雨」の被爆者は、直爆被爆者と同様に高齢化がすすんでおり、救済は待ったなしの状況です。被爆者援護法の適用を願いながら多くの「黒い雨」の被爆者が無念のうちに亡くなっています。
厚生労働省は、そのことを重く受けとめ、上告することなく、速やかに、原告ら全員に被爆者健康手帳を交付するよう求めます。同時に、すべての「黒い雨」による被爆者を、被爆者援護法1条3号に該当する「被爆者」として救済するよう強く求めます。