健康保険証廃止法案の廃案を求める トラブルの全容解明に尽くし、医療現場での利用は一旦停止を

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「マイナ保険証」に関わるトラブルの報道が続いています。オンライン資格確認システムに関わるトラブルや導入困難事例への対処を曖昧にしたまま、義務化に突き進んだことからすれば、当然のこととも捉えています。

誤登録や紐づけの誤り、それによる無保険状態の発生など、ひとつひとつの事案が重大な情報漏洩や受療権の侵害にあたるものであるにも関わらず、担当大臣からその責任への言及はありません。

医療情報の誤登録では、表示された投薬履歴が別人の処方歴であったことが、担当の薬剤師によって発覚に至ったとされています。投薬の取り違えは、疾病の急性増悪やアナフィラキシーなど、重大な医療事故につながりかねない問題です。また被保険者であるにも関わらず無保険の状態となった人が、健康保険証や10割負担額を持ち合わせない場合、受診することができない事態を生じさせてしまいます。

オンライン資格確認システムについては、2021年に試験的な導入を行った際、エラー事例が多発したため、導入が延期される事態となりました。その後の確認作業を経たにも関わらず、医療現場でも多くのエラーが生じているのです。現行の保険証を廃止し、「マイナ保険証」に一本化されることとなれば、そのトラブルは想像を越える数となり、命に関わる重大事案も起こりかねないと危惧しています。

システムの構造的な問題を軽視し、発生したトラブルを広報せず、厖大な税金を使ってカード取得キャンペーンを続け、現行の保険証を廃止する法案を提案した政府の責任は重大です。このまま法案を採決するようなことはあってはなりません。保険証廃止法案は廃案とし、真摯にトラブルの全容解明に尽くすこと、また医療機関での資格確認や医療情報の閲覧を一旦停止することを強く求めます。