医薬品の供給不安定解消に向け、直ちに抜本的な対策を講じることを求める要請書

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 小林化工や日医工の不祥事が発端となり広がった後発医薬品等の供給不安定な状況は、未だに改善の兆しが見られない。

 10月21日の医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会では、「現在、一部の製薬メーカーの薬機法違反を端緒として、後発品を中心に多くの品目において限定出荷が行われている状況」が報告されており、12月7日の中医協では、2022年8月末時点で、医薬品全体のうち28.2%、後発品では41.0%が出荷停止や限定出荷となっている状況が明らかとなった。また、安定供給の確保の必要性が高いにも関わらず、物価高騰や円安の影響等により不採算に陥っている医薬品が1,100品目あるとされている。

 コロナ禍の影響やロシア軍によるウクライナ侵攻等、様々な影響により医薬品の原料入手が困難となっており、メロペネルやカロナール等の抗生物質、解熱・消炎鎮痛剤、漢方薬、歯科では麻酔薬等の供給が不安定となっている。

 12月23日の中医協では、供給不安定な状況により、患者へ必要な薬を処方できない、代替品の確保業務の増大等、医療現場の対応を評価する観点から、診療報酬上の特例措置として、4月1日から後発医薬品使用体制加算等の時限的な引き上げが実施されることとなった。しかし、委員からは「患者へしわ寄せがきている」「診療報酬上の手当によって、安定供給問題が解決するとは到底考えられない」等の意見が出されており、抜本的な解決には程遠い。

 政府は医薬品供給不安定という事態が、国民の命と健康に直結する重大事案であることを認識し、安定的な供給を国の最低限の義務として責任をもって対応していくべきである。以上のことから下記の点について要請する。

 

一、政府の責任で、医薬品の供給不安定の解消に向け、原薬の国産化比率を引き上げ、不採算となっている品目への薬価下支えなど、直ちに抜本的な対策を講じること。

以上