司法判断に沿った、被爆者認定指針を策定し広島・長崎の被爆者を国の責任で救済することを求める

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7月14日の「黒い雨訴訟」広島高裁判決を受け、政府・厚労省は、12月に、認定要件11疾病に加え、「黒い雨に遭ったこと」が確認できることを条件とした被爆者認定指針の骨子案を示しました。報道では、広島県・広島市もこれを受け入れたとされています。

そもそも現行の「被爆者援護法」は、被爆者認定=被爆者健康手帳発行にあたって「11疾病」を要件にしていません。さらに、「黒い雨」に拘ることは、判決が認めた内部被曝による健康被害を無視したものであり、国が司法判断を歪めていると言わざるを得ません。

あたかも被爆者援護を前進させたかのように見せかけ、その内実は、広島と長崎の被爆者を差別している骨子案です。これを、被爆地・広島の総理大臣が認めることはあってはならないものと考えます。

被爆者の方々によって全国で提訴されたヒバクシャ訴訟は、国の責任を決定づけてきています。国の不誠実な行動、不合理な認定制度は、戦後70年以上に渡り、二重・三重に被爆者の方々を苦しめているのです。広島・長崎の被爆者の願いを「分断」という形で返戻したことを、岸田首相は恥じるべきでしょう。また、広島県知事・広島市長には、国の「11疾病」要件を受け入れることなく、「黒い雨」をはじめ、すべての原爆被害者が救済される指針策定を、国に要請しなくてはなりません。

 被爆者援護法は、原爆投下が国の責任によるものであり、国が被爆者の保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じることを定めています。広島県保険医協会は、広島の医師・歯科医師の団体として、法律の理念と、広島高裁判決に沿った「指針」を策定し、原爆被爆者の全面救済を行うことを強く求めます。