2024年12月2日現行保険証廃止閣議決定に強く抗議する

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12月22日、岸田首相は、2024年12月2日から現行の健康保険証の新規発行を停止し、原則廃止することを閣議決定しました。

政府の点検以降も、医療現場ではマイナ保険証によるトラブルが続き、全国保険医団体連合会(保団連)の調査の中間集計でも、「10月1日以降にマイナ保険証・オンライン資格確認に関するトラブルがあった」との回答が58.4%と、半数を超えています。マイナ保険証の利用がわずかしかないなかでも、これだけの医療機関がトラブルを経験しているのです。また、当会が11月に実施した県民アンケートをみても、マイナ保険証を利用したことがない方が8割を超え、約85%の方が健康保険証を残すよう希望しています。

すべての人が安心して医療を受けることができる環境を整備する責任は国にあり、誰もが遅滞なく健康保険証の交付が受けられるようにしなくてはなりません。しかし、現行の健康保険証を廃止することで、行政手続きによるタイムラグ、また手続きに負荷がかかる方々を「無保険の状態」に置いてしまうことになりかねません。

岸田首相は「国民の声・現場の声を重く受け止め、国民の不安払拭を最優先とした対応をとっていく」と述べましたが、医療現場でのトラブルが解消されないだけでなく、介護現場での受診に伴う負担、災害時の対応、カードリーダー更新に伴う費用や医療機関の負担など、未対応の課題は残されたままです。今回の決定を受けてデジタル担当大臣は、マイナ保険証の利用が伸びない責任を医療機関に押し付け、患者との分断を煽るような発言を行っています。医療が患者と医療者双方の信頼と協力のもとで行われることを無視した発言であり、許されるものではありません。

保険証廃止を一部の閣僚で決定し、国会でも不誠実な答弁を繰り返し、主権者である国民や医療現場の声を無視して強行しようとしています。「資格確認書」「資格申立書」「資格情報のお知らせ」などの対応策は、新たな負担を持ち込み、混乱を拡大させるものでしかなく、現行の健康保険証を残しさえすれば解決します。当会は、保険証廃止に関する閣議決定に抗議するとともに、撤回を強く求めます。

 

2023年12月27日

 

広島県保険医協会