新型コロナウイルス対策に関する要請書【政府・広島県】

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●新型コロナ対策政府要請書
●新型コロナ対策県要請書

2020年3月2日

内閣総理大臣 安倍 晋三 様
厚生労働大臣 加藤 勝信 様

広島県保険医協会

新型コロナウイルス対策に関する要請書

 国民の健康増進と福祉へのご尽力に敬意を表します。
 日本国内における新型コロナウイルス感染の拡大が懸念されています。2月25日に発表された国内感染者は164名、北海道から九州までの広範囲で感染者が確認され、その中には診察にあたった開業医が含まれていたとの報道もあります。
 こうした事態の中で政府は、2月25日、重症化を防ぐための医療態勢の強化を柱とした対策の基本方針を打ち出しました。これを受けて、地域医療を担う保険医の団体である広島県保険医協会では、感染の拡大を防ぐとともに、必要な検査および医療が受けられる環境を早期に整備する観点より、次のことを要請します。

【要請項目】

  1. 新型コロナウイルスに関する検査は公費負担とし、検査対象とする範囲の拡大、検査の実施体制を早急に整備してください。
  2. 新型コロナウイルスの治療に関する医療給付は、新感染症の医療給付に準ずるなど、全額公費負担とする対応を、早急に決定してください。この際、国保の短期保険証や資格証明書の交付者等にも配慮した対応としてください。
  3. 受診にあたっての留意事項を十分に広報し、医療機関での感染拡大を防ぐ対策を講じてください。
    ① 感染拡大が危惧される期間は、慢性疾患を除く緊急性の低い受診を控えること。
    ② 感染が疑われる場合の相談窓口を周知し、事前に連絡することなく、医療機関を受診することを控えること。
  4. 発熱外来を設置するなど、一般の受診受付とは区分した専用の施設を設け、非感染者と感染者が混在しないよう整備してください。また、そのために医療機関が要した費用は、公費にて負担してください。
  5. マスク、ゴーグル、ガウン等、感染症防護に要する材料を優先的に配布してください。
  6. 医療従事者が、感染患者の診療中に新型コロナウイルスに罹患した場合は、公務災害を適用してください。新型コロナウイルス感染患者を診察したことにより、休診せざるを得なくなった場合は、休業補償等を行ってください。
  7. 不確かな情報の流布やパニックの助長を防ぐため、医療に関わる情報は、医療機関の対応を含め、行政の責任において、周知・徹底してください。
  8. 集団指導など、診療報酬改定の周知に要する対策が中止となるなかでの実施は混乱を招き、感染症対応の最前線となる医療機関に過度な負担が生じることから、周知が図られるまでの期間、診療報酬改定を延期してください。
  9. 新型コロナウイルスに限らず、感染症対策を強化する点から、下記の点について、早期に実施するよう対策を講じてください。
    ① 保健所の数を増やし、機能強化を図ってください。
    ② 必要とされる十分な発熱外来を確保してください。
    ③ 公立・公的病院の再編・統合計画を中止してください。今回のような事態に備えて、病床数は余裕をもって確保すべきであり、そのうえで病院・有床診療所の経営が成り立つような診療報酬体系を検討してください。