マイナンバーカード普及を医療現場と国民に押し付ける健康保険証廃止とオンライン資格確認「義務化」に強く抗議する
12月21、23日の中央社会保険医療協議会では、健康保険証廃止を打ち出した政府方針に基づいたオンライン資格確認「義務化」の経過措置、および患者窓口負担増を伴う診療報酬の加算が審議された。「マイナ保険証」を利用した医療DX推進を前提とした議論は、患者負担増につながる診療報酬での加算についても、4月から12月という期間を区切ったものであるとして概ね許容する意見のなか答申が行われた。
中央社会保険医療協議会での議論を前に、診療報酬加算等についての大臣折衝が行われたことを問題視する意見が噴出した。「マイナ保険証」推進を掲げる政府・省庁の意向に従わせようとするかのような手順は、中央社会保険医療協議会の存在意義を無視するものであり、広島県保険医協会としても容認できるものではない。また、医療DXへの国民の理解も不十分ななか、マイナンバーカード普及を強引に進めることへの意見も少なくなかった。
当会では、オンライン資格確認システム導入に困難な状況が生じる医療機関への対応策を繰り返し求めてきた。しかし厚労省が示した経過措置は、あくまでも「義務化」に拘り、導入への負担増や実際の困難事例を配慮したものとは言い難い。また、診療報酬での加算は「マイナ保険証」普及の責任を患者・国民に負わせるものであり、システム導入に伴う経費負担増を補うものにも値しない。
マイナンバーカードをめぐる一連の政策は、閣議決定に過ぎない「健康保険証廃止」を前提として推し進められている。また任意であるマイナンバーカード取得を、医療制度を利用し実質「義務化」する手法は、診療報酬の本来の目的からも逸脱し、医療を歪めかねないものである。国民の医療を受ける権利や医療費負担に関わる重要な政策が、多くの国民の知らないうちに進められることはあってはならない。当会は、医療DXや「マイナ保険証」推進と「健康保険証廃止」は、国民的議論の下で検討されるべきものと考える。政府決定を医療現場に押し付けるようなマイナンバーカード普及策は見直しを求める。