医療は政治-99%の人々の幸福を達成する真の民主主義の確立を!-

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新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる世界の感染者数は、2022年4月に5億人を突破した。死者はWHOの推計で1490万人を超えている。日本では20年1月から患者が発生し、現在3年目であるが、深刻な急性期病床数、医師、看護師数不足のため十分な医療を受けることが出来ずに亡くなる人が後を絶たない。しかし、政府は医療費抑制政策の一環として、急性期病床を削減するための「地域医療構想」を、コロナ禍でも推進しており、国民は命の危険に晒されている。

国民の暮らしは、1990年のバブル崩壊後30年間平均賃金が上がらず、非正規雇用の増加と消費税増税、社会保険料と医療費窓口負担の引き上げ、社会保障費と公共サービスの削減などにより深刻な貧困と格差が増大している。年間の税収割合が1位になった消費税は、89年度から20年度までに約421兆円が徴収されたが、財政再建や社会保障拡充には使われていない。日本の国際的地位も凋落し続けており、この25年間経済成長がなく、「アベノミクス」による大胆な金融緩和政策の継続により円の信用も低下して「悪い円安」状態に陥っている。ウクライナでの戦争も勃発してさらに物価が上昇し、インフレの危機が近づいている。

政治の目的は「国民の命と暮らしを守ることである」と、歴代の首相は国民に向かって連呼する。しかし、今の日本の状況はコロナ禍で明らかになったように、国民の命は危険に晒され、暮らしも困窮している状態だ。この元凶は、80年初頭から始まった利益至上、効率重視、経済成長第一の新自由主義政治である。日本では中曽根政権から始まっている。「構造改革」と称して、国民の命と暮らしを守り国民が幸せになるための医療や教育、自然環境といった「社会的共通資本」を「官から民へ」のスローガンの下「効率化」で削減、リストラした。これらの新自由主義政治が続いたため、国民の貧困と格差が無尽蔵に助長された。そして、小泉純一郎、安倍晋三、橋下徹、トランプ前大統領などに代表されるポピュリズム(大衆迎合政治)が台頭した。フェイク(偽)ニュースを多用して国民の危機感を煽り、国民を分断、対立させた。分断と対立は、アメリカ大統領選挙直後に発生した米国国会議事堂乱入事件のような争いや戦争を惹起する。 

コロナ禍の現在「良い政治がなされないとよい医療が受けられないし、暮らしも良くならない」ことが、身に染みて分かる。しかし「ヒトの命よりモノやカネが大事」とする強欲資本主義は、国家の分断と対立を生み、安全保障と称して大国や大企業の軍事産業による経済成長も目指している。これは今、ウクライナで見られるような人類の悲劇と危機に繋がる。そして、地球の乱開発によって地球温暖化を加速させ、未知の病原体によるパンデミックや異常気象による未曽有の自然大災害を世界中で頻発させる。民間巨大グローバル資本家は、多額の選挙資金・政治資金や買収資金を提供することによって、政治とメディアをコントロールし、世界の所得と富を独占している。

私たち一般国民は、メディアやSNSの情報操作に惑わされることなく、一刻も早く今の政治を変えなければならない。そのためには、まずコロナ禍で露呈した医療やウクライナの問題を通じて政治に関心を持つことが重要だ。そして、自分たちの命と暮らしに関する身近な問題に対して声を上げ、活動することだ。民主主義は、99%の人々の幸福達成を目指すシステムである。選挙は国民が政治を変えていくことが出来る大きなチャンスだ。経済成長を求める新自由主義的な政治家は、現在の危機を解決できない。今こそ、私たちは国民のために良い民主主義政治をする代表者を選出し、一刻も早く日本と世界が幸福になるための政治に変える必要がある。