患者への懇切丁寧な医療の提供を担保する外来管理加算廃止議論の即時中止を求める

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 中央社会保険医療協議会のかかりつけ医機能の評価に関する議論の中で、11月10日、支払側は「外来管理加算」(52点)の廃止を提案した。理由として対象疾患や診療科の条件がなく算定要件が曖昧であること、生活習慣病管理料や特定疾患療養管理料など他の管理料と併算定ができることを主張している。

 外来管理加算は、基本的な診察や医療体制の整備などを評価する再診料とは異なり、検査や処置、リハビリ等を行わない患者に対し計画的な医学管理を行った場合に算定できる基本診療料として評価されたものである。1972年に処置等の少ない内科系医療機関の技術料の評価として導入された「内科再診料」が、1992年に外来管理加算となった。2008年には、「丁寧な問診と詳細な身体診察(視診、聴診、打診及び触診等)を行い、それらの結果を踏まえて、患者に対して症状の再確認を行いつつ、病状や療養上の注意点等を懇切丁寧に説明するとともに、患者の療養上の疑問や不安を解消するため」の取り組みを行う、という現在の要件が確立された。診療報酬は医療機関の経営の原資であるとともに、患者が受ける医療の内容や質を担保するものである。加算の廃止は、患者への詳細な診察や丁寧な説明、療養上の疑問や不安を解消するための行為を全否定するものであり、乱暴な提案と言わざるを得ない。

 そもそも診療報酬は疾患の特徴や医療行為の主旨・役割を整理したうえで、社会保障審議会での基本方針の策定、中医協での審議を経て定められる。2008年2月28日のm3.com のインタビューに答えた原徳壽厚労省保険局医療課長(当時)も「外来管理加算は技術料」との見解を示している。単に対象疾患が同じであることを理由に、技術評価の点数と疾患個別の点数を同一視して併算定を問題視することは詭弁の理屈にも見える。

 外来管理加算の廃止議論は、政府の医療費抑制策により軽視され続けている技術料の評価を引き下げかねないものであり、患者への懇切丁寧な医療の提供を否定するものである。外来管理加算の廃止議論の即時中止を求める。